働く人向け健康支援活動(EAP活動)

働く人向け健康支援活動 EAP活動

EAPとは、従業員支援活動、Employee Assistance Program の略。働く人々の健康をサポートする活動のことです。その活動は、利益を追求するという企業論理、安全配慮義務、CSRなどの観点において、どの要素とも矛盾しません。健康経営的視点から導入を行う企業・団体が増えており、その効果も実証されています。例えば、海外企業等(ユタ電力、GM社など)における費用対効果分析では、EAPへの投資費用1ドルにつき3~10ドルの効果があったとの報告があります。驚かれる方もいらっしゃるでしょうが、従業員はその企業・団体にとって財産であり、従業員の心身の健康に寄与するような活動への投資に、これだけの効果が認められるのは、ある意味当然のことなのでしょう。

さて、そもそも何故、EAPが必要かつ重要なのでしょうか? 私どもは以下のように考えています。
先天的要素、事故的要因、過去生きてきた環境、現在身を置く環境、そして未来の環境により、人の健康、病は影響を受けます。予防医学的アプローチをとりうるのは、今現在と未来の環境ということになります。地域、家庭、学校、職場、それぞれのフィールドで健康と病は作られていきます。働く人たちにとって、一日の寝ている時間以外の多くを費やす職場、仕事の状況は、病たらしめる方向にも、健康たらしめる方向にも、強く関与することになります。
EAPでは心身の健康を妨げてしまうようなリスクファクターを減らし、健康増進につながるような要素を増やすため、個人と集団に対してかかわっていきます。働く個々人のそれぞれの健康度がアップすれば組織も元気になります。組織が健全になれば働く個々人も元気になります。個人と集団双方にアプローチが可能なのは、予防医学活動の重要な利点であり、EAPとは、職域でのこうした予防医学活動全般を指します。

EAPを行う人材は、企業・団体内EAPスタッフと企業・団体外EAPスタッフとに大別されます。企業・団体内EAPスタッフとして挙げられるのは、専属産業医、社員である衛生管理者、産業看護職、心理職、人事労務担当者らです。一方、企業・団体外EAPスタッフは、嘱託産業医、社員ではない産業看護職や心理職とお考え下さい。私どもメンタルアシスト北海道は、後者の企業・団体外EAPを行っております。

企業・団体内EAPも企業・団体外EAPもそれぞれが重要であり、かつ特長があります。企業・団体内EAPの強みとしては、より身近で、日々活動できるメリットはありますが、状況次第ではスタッフ自身も社員であるがゆえに思うように活動がしにくい場合があったり、いくら専門性があるとはいっても同じ社員であるがゆえ相談しにくい場合もあったりします。私どものような外部EAPは、働く人たちにとって同じ社員ではない存在で、かつ健康管理上の専門家であるからこそ相談しやすいということも言えましょう。一方で、距離感が遠すぎてしまい、外部EAPスタッフの顔が見えないような状況だと、相談を躊躇してしまうことにもつながると思われます。

私たちメンタルアシスト北海道では、外部EAPのメリットとして、カウンセリングルームの提供やメール相談を行っているほか、基本スタンスとして定期的に事業場に訪問をして、顔がみえる活動を行っています。外部EAPの中には、定期的に事業場を訪問しない契約であったり、訪問しても積極的な活動になっておらず、労働者に身近に感じられてもらえていないケースもありますが、メンタルアシスト北海道では、積極的に定期的にかかかわることで顔を知ってもらい、相談へのハードルが下がるようなかかわりを重視しています。また、予防医学現場における「通訳」も常に心がけています。例えば、人事労務担当者と当事者、管理監督者と当事者、管理監督者と人事労務担当者、主治医と当事者、主治医と企業・団体内支援者などの考え、想いを適宜通訳することは、当事者のためにも支援者らのためにも大切だと考えています。

導入事例

実際にEAPサービスを導入された事例をご紹介します。以下の各事例は、関連する団体や個人の特定がなされない様に情報を加工しておりますが、EAPサービス導入や個人カウンセリングをご検討いただく際の参考にしてください。

産業医としての関わり

従業員150人ほどのA社では、もともと産業医を選任していたものの、法定健康診断実施後の事後面談のために年に1-2回事業場に訪問してもらう以外、当時の産業医とのかかわりは無かったそうです。しかし、メンタルヘルス関連疾患の罹患者発生に伴っての当事者対応、上司支援、人事労務担当者との連携、主治医との情報共有などの課題、過重労働対策についてなど、本来であれば産業医と協同して対処すべき問題に、対応できていないことから、見直すこととなったA社。人事労務担当者が当社に相談にいらっしゃいました。

まず、A社の現存の産業保健資源で利用、拡充可能なものについて見直し、新設したり、改善を要するポイントを洗い出すことから開始しました。浮かび上がった課題の例は、産業医体制の問題のほか、衛生管理者の役割や活動が不明瞭であったこと、衛生委員会開催が不定期となっていたこと、管理職の健康管理を含む部下へのマネージメントの問題があったことなど。
結果、労働安全衛生法に基づき、産業医体制は月1回事業場に半日訪問することとし、その枠の中で衛生委員会活動、過重労働対策面談、健康診断事後面談、希望者との面接などを行うこととしました。

また、新入社員や管理職向けの研修の際に産業医が話す枠を確保したり、社内報に健康情報を寄稿したりすることで従業員への各種啓発へとつなげつつ産業医の顔が見える活動にする、メール相談や当社カウンセリングルームを利用できるなどの外部支援窓口としての機能を付与することで、より相談、利用しやすいサービスになるような契約としました。さらに、衛生管理者の役割を明確にし、A社の産業保健活動の中心的役割を担ってもらうようになりました。
当初1-2年は、従業員に産業医の存在とその意義、産業保健活動が浸透するまで時間を要しましたが、以降は産業保健活動が当たり前となり、従業員による積極的なサービス利用につながってきました。
今後も、A社担当者と当社が都度かかわることで、より従業員の健康に寄与する活動を目指しています。

メンタルヘルス対策構築の支援

B社は従業員120名の精密機械メーカー。従業員の健康管理のために、産業医を配置し、衛生委員会を定期的に開催するなどの取り組みを進めてこられました。

昨今、会社の業績は堅調に推移しているものの、業務の細分化、人員不足による影響か、メンタルヘルス不調による休職者が複数発生しているとのこと。その都度、人事労務担当者や職場長がその対応にあたってこられたようですが、社としてこころの健康問題にどのように取り組むかのスタンスが明確でないために、結局のところ担当者が問題を抱え込んでしまうこととなり疲弊してしまっているとのことでした。

人事部から弊社にご相談があり、メンタルヘルス不調者への対応と体制作りについて検討をしていくこととなりました。

まずは衛生委員会の場を活用して問題を社全体で共有し、個別事例として対処するのではなく、組織として問題を受け止めていただくようにお伝えをし、厚生労働省の指針に基づいた「心の健康管理対策」を策定する作業をすすめていただきました。弊社からは、法令や指針の理念をいかしつつ、会社のニーズに合った現実的なものとなるよう、策定段階、目標の設定などのお手伝いをいたしました。

また同時に、社員のみなさまにメンタルヘルスの諸問題について、まず知っていただくことを目的として社員研修の機会をつくっていただき、講師を派遣いたしました。研修では、メンタルヘルスに関する基礎的な情報の提供と、主に管理職を対象に「ラインケア」と管理職の役割、メンタルヘルス不調者にどのように対応していくと良いか、その基本的な考え方をお伝えしました。

その後、計画的に支援を継続することを目的にご契約の締結となり、衛生委員会への出席、2ヵ月に1回の事業場訪問による社員の方へのカウンセリング実施と、人事労務担当者等ご担当者との打ち合わせ、社員研修の講師担当などのサービスを提供させていただいております。

カウンセリングを通じた支援1

Sさんは入社4年目の男性社員で、明るく闊達な印象の方です。今年度当初に異動があり、法人営業を担当しています。初めての仕事に戸惑いながらも自己研鑽を積み、半年経つ頃にはかなり仕事にも慣れて顧客との関係も良好でした。

しかし最近になって出社がギリギリの時間になったり、これまであまりなかったようなケアレスミスを起こしたりといったことが見られるようになりました。表情もなんとなく暗く感じられます。

直属の上司が心配をして声をかけると、仕事をがんばりたいと思うのだけれども集中できなかったり、眠りが浅くついつい深酒をしてしまうといった話をしてくれました。なにかストレスを抱えているのではないかと感じた上司にすすめられてカウンセラーのもとを訪れました。

カウンセリングでいろいろとお話しを伺うと、いわゆるメンタルヘルス疾患で治療が必要な状況ではないけれど、このまま状況を放置しておくのは心身の健康にとって良くないと判断し、定期的にお会いしてお話しをすることとしました。

カウンセリングでは、「Sさんご自身がご自分をモニタリングすること」を課題として、毎日の出来事やその時の気分などを簡単にメモをとり、それをお会いする際に持参していただきました。その中で、ネガティブな気分になったエピソードを中心にカウンセリングで取り上げ、認知行動療法的なアプローチを試み、客観的に問題をとらえ直してみることでもっと違う行動の仕方があったか、それを実行してみたらSさんの気分はプラスに変化したかを一緒に検討してみました。

カウンセリングを通じて、Sさんはもともと真面目な性格で、仕事を完璧にこなしたいという思考が強かったために、うまくいかなかったことや失敗についとらわれてしまうけれど、ネガティブな側面だけにこだわらず、うまくいった経験や顧客など周囲からのポジティブな評価を積極的に受け入れることで、もう少しリラックスして仕事に取り組めるのではないかという感触を得たようです。

こうした気付きが得られたことや健康面での不安がなかったことから定期的なカウンセリングは7回で終了しました。

現在はカウンセリングを勧めた上司とともに、生き生きとご活躍されています。

カウンセリングを通じた支援2

Y子さんは入社11年目の係長職でバリバリと仕事をこなす一方、4歳になる息子さんの良き母親としても毎日奮闘されておられました。

Y子さんが中心となって進めていたプロジェクトが成功し、忙しかった業務がひと段落した頃、「なんとなく会社に行きたくない」、「仕事をしていても身が入らない」、「家事をするのが億劫」と感じるようになりました。夫に相談をし、家事分担を変えたり、保育園の送迎も夫に任せるなどしてみましたが状況は改善せず、強い気分の落ち込みを感じる日が出てきました。

「ちょっとこれまでに経験したことのない感じだな」と思ったY子さんは、カウンセラーの定期訪問日に思い切ってカウンセラーを訪ねてみることにしました。

お会いしてお話しを伺うと、会社や家事をさぼりたい、落ち込みが強いというだけではなく、寝付きが悪くて疲れが取れにくかったり、特に朝の倦怠感が強くて動き出すのがつらい、時々すべてを投げうってどこかに行ってしまいたいと考える等のお話しがありました。カウンセリング中は終始うつむき加減で肩を落とし、辛い状況におられることが伝わってきました。

様々な症状の訴えを勘案し、まずは専門医を受診して治療を始めるように勧めました。また治療とあわせて、日々のストレスなどをカウンセリングの場で話して発散し、一緒に対処方法を検討していくことを提案しました。

受診の結果、「抑うつ状態」と診断されて薬物療法を開始、同時に定期的なカウンセリングを行うことになりました。また、現状で無理をすると健康状況が深刻化することが懸念されたので、ご本人とよく話し合ったうえで直属の上司を交えた3者面談を行い、仕事上必要な配慮について理解を求めました。

薬を飲み始めてひと月くらいで徐々に倦怠感や気分の落ち込みが改善され、3ヵ月後にはほぼすべての症状が気にならない程度に回復されました。再発を防止するために最低限の薬は今も飲んでいますが、カウンセリングでお会いする際の表情もかなり明るくなったように感じられます。

Y子さんには、仕事と家庭を両立することは、無自覚であってもかなりストレスを感じるものであることを再認識し、時々カウンセリングルームに愚痴をこぼしに来ることをお勧めしてカウンセリングは終了となりました。

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